伊坂幸太郎著。
読んでいる間ずっと胸が締め付けられるようでした。 ケネディ暗殺事件を下敷きに、 日本で起きた首相暗殺事件の犯人としてスケープゴートにされた 主人公が逃亡する数日間を描いています。 舞台は今よりちょっと未来か?と思われる仙台。 そして首相公選制が導入されているという、 現実とはこれまたちょっと違う日本。 巧妙に散りばめられた伏線と 強引ともとれる展開がうまい具合に混ざり合っています。 読みようによってはこの強引さが稚拙?と とれなくもないのですが、特に中盤以降はそんなこと関係なく ぐいぐいと引き込まれていきました。 少々見てくれが良く人が良いだけの、平凡な主人公・青柳。 とことん絶望的な状況に置かれながら それでも負けないでいられたのは……。 この「……」の部分がこの物語の醍醐味なんですが、 言っておきますが謎解きとか衝撃的な展開とかじゃないです。 一言で表現するなら、青柳が人生の中で関わってきた 様々な人々との「思い出」です。 遠く離れた場所で触れ合うことも言葉を交わすこともできないけれど、 一緒に過ごした家族や友人との思い出が 青柳を救い導いていきます。 昨年観た映画「パンズラビリンス」と同様 希望を見出したいと思いつつとにかく切なくやるせなく、 後に引きずってしまうけど決して読後感は悪くないという 複雑なラストです。 「キルオ」という不思議なキャラが出てくるんですよ~。気になります。 作者は他でも使う気なのかな?
by bearsforest2006
| 2008-01-21 01:18
| 読書。
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